幕間第十五巻
〜心〜








 結局、モノノ怪の声はちゃんと聞こえてた。


 どうしてマリちゃんの声が聞こえなかったのかは、良く分からない。


 薬売りさんは、マリちゃんが私のことを気に入ってくれたからかもしれないって言ってた。


 もしそうなら、それはそれで嬉しい。
  でも、それじゃあ私の力は“この世ならざるもの”すべての声を聞くことが出来るわけじゃないんだって思った。


 聞き逃してた声もあったってこと。
 極端なことを言えば、斬らずに通り過ぎたモノノ怪がいたかもしれないってこと。


 多分、薬売りさんがいるからそんな事は無いと思うけど。


 でも、薬売りさんが気付くなら、別に私はいらないんじゃない?



 モノノ怪に気付けないなんて、一緒に居ても役に立たない…。







 それに、この力は無くなるかもしれない。
  そういう可能性にも気が付いてしまった。


 例えば何かの病気になって、耳が聞こえなくなるのと同じように。
 例えば年を取って、耳が遠くなるのと同じように。


 私のこの力も、もしかしたら衰えたり、無くなったりするのかもしれない。




 そうしたら、私はどうすればいいんだろう?




 旅は、やめるべきだよね?




 何の力もないのに、薬売りさんが連れて歩いてくれるなんて、きっと有り得ない。
 何も出来ない人間を、モノノ怪退治に連れ回っても役に立たないもの。




 もしそうなったら、薬売りさんとはお別れ、なのかな。






 何で、かな…




 それって凄く嫌かもしれない。




 ううん…




 絶対に嫌…



























 ―不安が生まれた瞬間。



























-END-












あまりキャラの心情を書くのが得意ではありません。
独白なんて持っての外…。

余りにも残念な感じなので、ひっそり更新です。
多分次の幕間もそんな感じです…
あしからず。

2010/5/9