幕間第十六巻
〜存在〜










 彼女が居なければ、知ることはなかった。




 モノノ怪がいつも、声を上げているということ。


 モノノ怪を斬ったとき、哀しむものが居ることもあるのだということ。


 モノノ怪を斬ったことに、後悔するということ。






 それだけでは、ない。





 人と、旅をするということ。


 何かに、執着するということ。


  救われるということ。









 誰かが、傍に居るということ。


 彼女が、傍に居るということ。


 それを気に入っている自分が居るということ。


 それが、呼吸することや、旅をすることや、薬を売ることや、モノノ怪を斬ることのように当たり前になっていくこと…











 誰かが。




 彼女が。




 …さんが、傍に居てくれて良かったと思うこと。








 さんが居なければ、知ることもなく通り過ぎていた。








 さんが居なければ…


 俺は、きっと、何も知らずに…


 ただ、モノノ怪を斬るだけの日々だった。












 こんな気持ちも知らずに…















-END-








前回予告通り駄文です。
やっぱり独白というか、人の気持ちは上手くかけません…。
“こんな気持ち”って一体…

次はちょっと気に入ってる幕間です、多分。

2010/5/16