幕間第三十巻
〜くず玉・参〜







 女将のことを粋だと言った理由が、分からないようですね。


 それは、貴女、だからですよ。


 女将が選んだ黒と桜は、貴女にぴったりの色だ。


 ねぇ、さん?






 だから俺は、桜を、選んだんですよ。


 実に、貴女らしい色。


 それを真っ先に手に取った意味が、分かりますか。


 きっと、分かるどころか、女将の趣向に気付きもしないんでしょう、貴女は。
 そういう人だ。




 だから、俺が“青を食べろ”と言った意味すら、分かっては貰えないんでしょうね。
 貴女が“俺の色”だと言った青。


 それがどういう意味かも、分かってもらえないんでしょうね。




 まぁ、それはさておき、また可笑しな事を言っていた。


 俺が、何をしていると言うのか。


 何を教えているつもりもないし、何を与えているつもりでもない。
 俺がモノノ怪を斬る事で、貴女は何かを感じているのかもしれないが、それは、俺が与えているものじゃあ、ない。
 貴女自身が成すもの、なんですがね。


 寧ろ感謝をしているのは、俺のほうなのに。
 それにも、貴女は気付いていないんでしょう。









 感謝、か…。




 俺が、ね…。




 本当に…貴女という人は…



















-END-







何か変な話でしたね…
最後は短く。


2010/12/5