幕間第六十二巻
〜気になるんです・参〜









 どどど、どうしよう!?


 また、薬売りさんの耳に触ってしまいました。
 気になって仕方が無い、薬売りさんの耳です。


 今度は“温めて”と言われました!


 あの夏の日以来です。


 そして、はっきりと“これからは貴女に温めたり、冷やしてもらう”って言われました!
 これって、触ってもいいってことなんでしょうか!?
 構わないってことなんでしょうか!?


 私、薬売りさんの耳に、触れていい…?


 これまでずっと、触りたいと思ってて、でも、そんな事言えなくて。
 だって、そんな恥ずかしい事言えない!
 自分から薬売りさんに触れてもいいかなんて、絶対言えない。


 ち、違う!
 『薬売りさん』じゃない!
 『薬売りさんの耳』!!
 自分から薬売りさんに触れるなんて、そんなのもっと無理!!






 …あ…、でも、そういうこと、なのかな?
 触れても、いいってこと?

 嫌だったら、そんなこと言わないよね?


 もっと、薬売りさんの耳に…。


 もっと、薬売りさんに…。






 薬売りさんに、触れたい…。






 そう思った瞬間、心臓がビクリと跳ねた。



 ずっと耳が気になっていたけど、本当は、耳だけじゃなくて。



 私が触れたかったのは、薬売りさん?




 ううん、耳が気になってたのは本当のこと。


 でも。





 早くなる鼓動を、しっかりと受け止める。






 そうして、思った。






 あぁ、私は薬売りさんに触れたかったんだ。






 薬売りさんに、近付きたかったんだ。


 いつだって。















 薬売りさん…。




 私から触れても、いいですか…?



















END








いや、季節が追い付かれている感…ですね;


2013/11/17