幕間第十七巻
〜天秤・壱〜










 最近、あの子の様子が可笑しいんだ。
 あの子っていうのは、ちゃんだよ。


 マリちゃんって座敷童子を、薬売りが斬ってから。
 何か落ち込んでるみたい。


 僕らには分かるよ。
 ちゃんのこと、大好きだから。
 薬売りも気に入ってるみたいだけど、僕たちの方がずっとちゃんのこと気に入ってるからね。
 何せ、一緒に寝てくれる、温かい人なんだから。
 こんな男所帯(多分)に、飽きもせず一緒にいてくれてるんだ。


 薬売りも、ちゃんの様子には気付いてるみたいだけど、何だかなぁ。










さん、具合でも悪いんで?」
「いえ、元気です。大丈夫ですよ」


 確かに食欲はなさそうだけど、ちょっと違うだろ、薬売り。


「そうですか」
「はい」


 それで終わりかい、薬売り。


「何か、あったんで」
「何もありません」


 そんな訳ないだろ?
 どうしてそんなに頑ななんだ。
 確かに薬売りは頼りにならないかもしれないけど!


「では、何故そんな顔をするんで」
「そんな…って、地顔ですけど」


 薬売りー!!


「何も話しては、くれないんですか」
「だから、何もないですって」


 ちゃん…。


「では、俺は薬を売りに、行きますので」
「いってらっしゃい」


 ぬあー! 何それ、食い下がれよ!!


 って、あ!?
 何? 何で薬売り僕を置いていくの?
 何? 何、その“分かってるな”的視線!?


 僕にちゃんを励ませとか言うわけだ?
 自分じゃどうにも出来ないから?
 僕に何とかしろと!?



 むむむ…。



 他でもない僕らの主、薬売りの頼み。
 他でもない大好きなちゃんの為。






 一肌脱がせていただきます!!

















-NEXT-


















肌があるのか謎ですが…
性別があるのか謎ですが…


天秤さん視点、ちょっと可愛くて好きかもしれないです。
続きます。


2010/5/22